メモ帳がわり
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DATE: 2013/02/18(月)   CATEGORY: オリジナル
うさぎけの話①
うさぎけー
一点にあった意識を解放するように長く息を吐き、縮こまっていた背筋を伸ばす。集中が途切れると途端に寒さを感じて琳吾はぶるりと震えた。
シャツと上に着たノルディック柄の分厚いカーディガンの袖を纏めて捲り上げているから、腕はむきだし。茶色の大きめなライダースジャケットは邪魔になって腰に結んでしまった。
肘とブラックジーンズにまで跳ねた泥が白く点々と付いてしまっている。
目の前にはろくろが周り、成型間近の粘土の塊が出来上がりを待っていた。
「あー、もう。ダメだ!」
琳吾は衝動に任せてぐちゃりと粘土を潰した。





そもそもの発端は、大学から付き合う彼女との約束だった。
遠距離というものは厄介で、ちょっとフリーな時間があるからと簡単に会えるわけもない。お互い社会人、しかも古物商の端くれと考古学者の卵という特殊な職業、下っ端となれば尚更休みが重ねるのが難しい。毎夜たまに国際電話も兼ねるスカイプで会話を重ねるのが関の山だ。
おかげでクリスマス、年末年始は家族で過ごす羽目になった。いつも通りといえば
いつも通りだが、数えてみれば半年会えていないことに琳吾は密かにガックリした。

一月も半ばをすぎた頃。
2月、会えそう。そう言われて、思わず調子に乗った事は否めない。だって、いいところを見せたいものだろう、男なら。
デートコースを考えて、レストランに予約も入れた。ついでに簡単なプレゼントも用意した。アクセサリーみたいな装飾品を好まないから、実用的なハンドウォーマーだ。
zippoの刻印が入ったそれは、彼女の持つライターとお揃いになる。気に入ってくれるといい。
だが、そういうときこそ上手くいかないものだ。


「ーーえ?ダメになった?」
「そうなの、教授の講演に駆り出されて」

よくある事だ。彼女の師事する教授は忙しい人でかつフットワークが軽い。付き合う彼女も当然合わせて予定が詰め込まれる。
わかっていたが、半年の月日がホロリと愚痴を零させた。

「嘘だろ、半年ぶりぐらいに会うのに」
「ホントゴメンね。チョコはバレンタインに送るから。あとでまた埋め合わせさせて」
「埋め合わせって。これだけ会えてないのにいつ埋め合わせができるんだ?」
「う……。そんな事言ったって」
「あー、……ゴメン。ちょっとテンパって意地悪言った。仕事、頑張ってね」

ポンと通話を切った音がした。
(後でキャンセルの連絡入れなきゃ。たつ君にも店番大丈夫になったって早めに言わなきゃな。
なんというか、落ちるなー。
しかも、『仕事と私どっちが大事なのよ』的な事を言ってしまった……女々しい)

布団に寝転んで毛布に簀巻きになり、一人反省会。弟達には見せられない姿だ。
夜も遅い。時間を確認して携帯を半纏のポケットに入れ、戸締りの確認をしようと立ち上がる。玄関、台所の勝手口とストーブ。溜息を吐きつつ茶の間のストーブを消火すると灯油の燃える独特の匂いが冬場を感じさせた。
襖を閉めたところで、ブルッと携帯が振動した。
メールだ。

『約束の日、駅前に10時』

そっけない文章は彼女の癖だ。
琳吾は首を傾げた。用事はなくなったんだろうか。レストランのキャンセルは少し待った方がいいかもしれない。
さっきまでの落ち込みは期待で少し軽くなっていた。


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