メモ帳がわり
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DATE: 2013/02/21(木)   CATEGORY: オリジナル
初恋と忍者①
実は琳吾くんの名前、前々から温めていたものなのです。
遅い時間だった。
ドヴォルザークの家路が流れている。下校の時間を知らせる放送、ざあざあと降る雨。
夕方は雨雲でますます暗く、古ぼけた校舎を不気味に感じさせている。
僕は、昇降口に人がいることに気がついた。
ゆっちんだ。幼稚園ぐらい昔からの知り合いで一コ下の女のコ。口をへの字にして、空を見上げている。小学校の高学年位からあんまり話さなくなったけど、雨が降ってて立往生してる時に置き傘貸してあげようって思うくらいには顔見知りの子だった。

「ゆっちんやん。傘、無いと?貸してやろうか?」
「え、ありが……。アンタ、高峯琳吾」

振り向いたゆっちんの表情に、僕は驚きから無表情、激怒までの表情の変化をみた。


「近寄んじゃねー、カマ野郎!」





―――って、言われたんだよねー。
僕が突っ伏してぼやくと、弁当を食べていたターちゃんがぶふぉっと吹いた。
「ターちゃん、キタネー」
「りんが笑かすからやし! くっそ、米粒鼻に入った」
ターちゃんはなぜか耳に指を突っ込んでる。つながってないよ、そこ。
横のヒデっちがティッシュを出した。ヒデっちは中三にしてマイティッシュを持参しているハイスペックDCである。
「おら、ターちゃん、チーン」
ビブー、という音をさせて鼻をかんだターちゃんが、かんだティッシュを見て米粒三つもあった! と騒いでいる。
「なんでやろ、僕、カマっぽい?」
「まぁなー、りん、小せぇからな」
「いやいやいや、小さいのとカマっぽいのは関係ないやろ。あと僕平均だからね? 多分絶対平均は余裕であるからね? むしろちっちゃいのはターちゃんやん。あとヒデっちはデカすぎ」
「二人ともまだ成長期来てないんやろ。声変わりもまだやん」
ヒデっちが卵焼きを二ついっぺんに箸で掴んだ。
ちなみに食べているのは、ターちゃんの弁当である。ターちゃんこと田久保篤の弁当は二段の重箱でできており、その中身は田久保家のターちゃんの成長期に対する意気込みを感じさせるものだ。しかし、ターちゃんは大抵全部は食べきれないので三人で食べることになる。
バレー部で大きな体に見合った胃袋をしているヒデっちは、重箱弁当の始末屋として最大戦力にふさわしい食べっぷりを見せている。
「ウッセー。一人だけ大人の声だからってチョーシのんな!」
ターちゃんは拗ねたのか子供っぽい高い声でキィッ、と叫ぶとなぜか床を転がり始めた。ターちゃんは中三ではあるが、横断歩道の白線を踏み外したら死ぬとか蛙がいたらポケットにいれるとか、そういうルールで生活している小学生男子でもあるため、こういう意味のわからない言動を日常的にする。
僕はターちゃんの頭越しに重箱の稲荷寿司を詰まんだ。


声、と言われれば心当たりがあった。
母親が、ちょっとした西欧かぶれでミーハーな性質だったのが原因だと思う。僕は五歳から少年合唱団というところに所属していた。割と向いていたらしく、七歳でソロを貰い、十歳でコンクールで入賞した。TVに映りもしたので、町内では名前が知られているほうだ。
で、大体少年合唱団と言えば、お決まりのイベントがある。クリスマスの聖誕劇(ページェント)だ。そのへんのちびっこ達を集めてやるのでそんなにクオリティが高いものではないが、教会とかホールとかで演るので派手さはあった。
最初に貰ったのは、受胎告知の天使の役だった。間違ったギリシャの神話みたいな格好で天使の輪をアルミホイルで付けた。当時の写真は、小さかったし色素の薄いほうなので失笑するような出来ではなかったと自分をなぐさめながらでないと見れない。十歳から、マリア役を任されるようになった。ソロがあるからだ。
小学生なんて男も女もあんまり変わらないし、女役だが衣装は布を巻きつけたようなお粗末なものだったのであまり気にもならなかった。ただ、そのソロの評判が良く、十四歳の去年まで主役を張ることになったのは予定外の事態だ。
「だからじゃん? 毎年スカート穿いてっし」
「ターちゃん、なんかその言い方だと僕が日常的にスカート穿いてるみたいになってるから。違うから。ただの衣装だから」
「そんなことより、もう予鈴なる時間だ。はよ行かなヤバイ」
次、理科だから教室移動やろ。ヒデっちの声に僕らは慌てて弁当箱を片付け出した。
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