メモ帳がわり
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DATE: 2013/02/04(月)   CATEGORY: ネタ
カラクリ職人の妄想 かきかけ



 表通りの中でも他とは少しばかり雰囲気の違う、お忍びの貴族が馬車で乗り付けるような高級な店の並ぶ一画がある。その隅にひっそりと歯車でできたハートを象った看板。"ブリキの心臓"と装飾文字が書かれている。
 その看板を見やり、紳士が一人、店内へと足を踏み入れた。
 高級店に似つかわしくなく、狭く薄暗い。壁には幾つもの種類の柱時計がコチコチと針を回し、ショーケースには小さな時計やオルゴールが宝石の様に陳列されている。靴音を聞いて老眼鏡の店員が手元から顔を上げた。
 フレッドはは帽子を取ると、奥方に言い含められた通り内ポケットからカードを出して見せた。老店員は手元に視線を戻し、無言で奥の階段を指差した。ここはそういう、客を選ぶ店だった。
 階段を登れば、世界が違う。



 「いらっしゃいませ」


  
 落ち着いたトーンが室内に響いた。
 毛足の長い絨毯、布張りのソファ、大理石の天板のティーテーブル。どんな魔法なのか、壁には葡萄の蔦が絡みつき、紡錘型の房から光を放っていた。一面は天鵞絨の布で覆われている。
 文句のつけようがないほどの豪華な部屋だが、何よりフレッドの息を止めたのは黒い女だった。黒い肌、黒い巻き毛。豊かな乳房と細い腰、張った尻を黒いドレスに押し込めている。上半分が肉感的に盛り上がる胸元と厚めの唇は成熟した女性を感じさせた。未亡人のように黒いベールで頭と肩を覆っており、奧から見つめる目だけがエメラルドの緑に炯炯と光っている。肉食の動物や呪われた宝石に似た不吉さを感じさせる、本能が危険信号を出すような極上の女だった。
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